歴史上の隠居の実例
隠居したからと言って、それで悠々自適の生活を送るとは限らない。たとえば平安時代の白河天皇は、皇子の堀河天皇に皇位を譲って上皇となったが、1129年に崩御するまでは政治の実権を掌握していた。いわゆる院政であるが、天皇が上皇、または法皇となることも、一種の隠居と言える。ただしこれはあくまで律令上の公職からの隠退であり、治天の君として皇室の家督の地位はなお保持し、政治の実権を握っていた。在世中に治天の君の地位をも退いた例は後鳥羽上皇や後宇多上皇などごく僅かにとどまる。
鎌倉幕府では、摂家将軍の藤原頼経が、将軍職からの離職を迫られて嗣子の頼嗣に将軍職を譲ったものの、なお大殿と称され、将軍の後見人として振舞った。また北条時頼以降は執権を退いた得宗(北条宗家の家督)が実権を保持する例が常態となった。
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